【漆のことわざ】

皆様はじめまして。箕輪漆行ホームページ担当の、蓑輪信男と申します。
先月6月にホームページがリニューアルし、前々から興味のあったメール
マガジンを発行する事になりました。このメールマガジンでは漆の事や、
漆芸の事、漆の歴史の事や、筆者の事、箕輪漆行の事、思いついた事など
皆様と共に面白おかしく続けていきたいと思います。

  第一回のお題は漆のことわざです。最初なのに少し堅苦しいお題ですみ
ません。有名なことわざに「漆千杯に蟹の足一本」という言葉があります。
これは日蓮上人が残した言葉で、千杯もの漆の中に、蟹の足を一本入れた
だけで、漆の乾燥が悪くなり駄目になってしまうという事のたとえで、ひ
とつの悪い要素が、全体を悪くしてしまう事の意味です。ですが漆を使う
者にとっては興味深い話であります。おそらく蟹の足には塩分が含まれて
いるので、塩分により漆の乾きが悪くなってしまうんだと思いますが、塩
分以外に漆を悪くする成分が蟹の足にあるのか気になるところです。もし
知ってる方がいたらご一報ください。
  暑く湿気の多いこの季節は乾燥の遅い漆が好まれます。近い将来お客様
から乾燥の遅い漆の要望があった時「蟹の足で調整してください」なんて
言う日がくるかもしれません。