【蟹と漆の関係】


前回、蟹の足を漆に入れると漆を悪くしてしまうことについて触れましたが、蟹といえば、漆かぶれの特効薬としても知られています。
生きた沢蟹を潰し、かぶれた患部に塗りつけると、漆かぶれが早く完治すると聞きます。
この漆と蟹の関係、はたして偶然でしょうか?一度疑問に感じると気になって仕方がないので、そのうち漆に蟹の足を入れて実験してみたいと思います。福井県の名産の越前蟹を用意したいので、ひとまず蟹が解禁になるまで待つ事にします。

さて、漆かぶれの話が出ましたが私も漆屋に勤めている以上、かぶれる事は多々あります。
うっかり漆が体に付着したまま気がつかなかったりしたりすると、赤く腫れてかゆみに襲われます。これがかぶれ、と呼ばれる症状ですが対処法をいくつか紹介します。

1、「病院でもらえるステロイド系の塗り薬をぬる」
これはかゆみを抑える即効性はありませんが完治させる期間を短縮させる事ができます。ただステロイドは肌を弱くするので、また同じ箇所がかぶれた場合、前回よりひどい症状が出る可能性があります。また薬品に頼ると自己治癒力が養われないので、これから漆と長くつきあう人は、出来るだけ使わない方がいいかもしれません。

2、「塩水をつける」
昔ながらの治療法ですが、海水浴に行くのもひとつの手です。ひょっとしたら蟹を見つけられるかもしれません。

3、「氷で冷やす」
スーッとして一瞬かゆみを忘れます。かぶれて熱をもった患部に気持ちのいい逸品です。

4、「お風呂で熱めのお湯をかける」
熱湯をかけるだけでかゆみが薄れます、不思議!どうしても我慢できない時はオススメです。ドライヤーの熱風でも同じような効果があります。
皮膚というのは熱さとかゆみを同時に感じる事ができないので、熱さを優先して感じようとする働きを利用した裏技です。ただ、あまりに熱いお湯だとやけどするので注意が必要です。

5、「我慢する」
プロの職人になると、忍耐力がついて多少の事は我慢できるようになります(我慢できない人もいます)

絶対にしてはいけないのは、かぶれた箇所をかく事です。かきむしると、かぶれが広がり、完治も遅れ、かゆみが増すという悪循環に陥ります。私も入社したての頃は、この無限ループから中々ぬけだせないで苦労しました。
他にも「私はこうやって治しています」等のかぶれ対処法をご存知の方はご一報ください。
では、また次回の漆マガジンでお会いしましょう。